こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの岡です。

 

自然災害やシステム障害といった不測の事態への備えである「BCP対策」をご存じでしょうか。

BCP対策とは、万が一のトラブルの際にも業務を中断せずに続けられる体制を整えることで、近年、物流の現場でもBCP対策の必要性は増してきています。

しかし、BCP対策が必要なことは分かっていても、どのように取り組めばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回のコラムでは、物流におけるBCP対策について解説。

物流のBCP対策の目的や必要性に加え、物流BCPを策定する際のポイントや含めるべき項目などについてご紹介します。

システム

 

 

物流のBCP対策「物流BCP」とは?

BCP(事業継続計画)とは、災害やシステム障害など万が一のトラブルが起こった際にも、事業を中断せずに継続させるための仕組みを構築することを指します。

 

物流BCPは、事業の中でも特に物流業務に対してのBCP対策のことです。

物流BCPの目的は、予想外のトラブルが発生しても ①物流機能を維持すること ②早期復旧すること の2点です。

 

災害発生などの緊急時の被害を最小限に抑えることが目的とされています。

 

災害などで物流業務がストップしてしまうと、再開までの間は売上が減る・なくなるのはもちろん、それにより顧客からの信頼も失ってしまう可能性があります。

失った信頼を取り戻すのはとても大変なことで、その後の売上や経営にも大きな影響を与え、最悪の場合には倒産につながってしまう可能性もあります。

 

また、物流は日本経済や国民の生活を支える社会インフラの一つでもあるため、できるだけ中断させずに機能を維持する責任があるのです。

 

物流BCPが重視されるようになったきっかけ

物流BCPの必要性や重要性がより注目されるようになった要因の一つは、2011年に発生した東日本大震災です。

地震で被害を受けた多くの物流業者が業務を中断せざるを得ないのはもちろん、直接被害を受けていない物流業者に関しても、東北新幹線・東北線・東北自動車道の寸断により、商品流通が難しくなってしまいました。

 

このような状態に対応するためには、安全な代替ルートを検討しておき、迅速に切り替えることが必要だったのです。

 

地震などいつ来るかもわからない万が一のトラブルへの備えは、日々の業務に追われて後回しになりがちです。

しかし、企業への損害を防ぎ、社会的な責任を全うするためにも、物流BCPについてしっかり取り組む必要があります。

 

また、近年は物流業務の効率化やコスト削減のために物流拠点の集約が進む傾向があります。

しかし、大規模拠点に集約すると、その拠点でトラブルが起きたときに損害が大きくなってしまう可能性が。

 

企業の経営安定のためには、業務効率化やコスト削減と並行して物流BCPにも取り組む必要があります。

 

拠点を集約するメリットやポイント、リスクについてはこちらのコラムで詳しくご紹介しています。

物流拠点を集約するメリットは?リスクや集約のポイントも解説!

 

 

物流BCP策定で考えるべきポイント

物流BCPを策定・運用するには、必要な項目を取り入れた基本方針を作り、運用体制を確立します。

周知、訓練、運用ができる仕組みやルールを作り、また、定期的に項目や内容の見直しを行うなど、日常的に策定・運用のサイクルを回すことがポイントとなります。

 

物流BCPに取り入れるべき具体的な項目や策定方法などについては、国土交通省やそのほか業界団体がガイドラインを示しています。

 

 

例えば、物流BCPの策定時のポイントについて「荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン(国土交通省)」では以下のように示されています。

 

【防災対策】

  1. ハザードマップ(最新版)等で事業所や施設の危険度を把握
  2. 必要に応じた防災対策(耐震・浸水・荷崩れ防止等)を実施
  3. 構内・事務所の整理・整頓
  4. 消火器、救急用品、避難・救難機材の準備
  5. 備蓄(食料・飲料水・毛布・救急用資機材等 最低3日分)の実施
  6. 通信手段の多重化
  7. データのバックアップ
  8. 事務所・車両・倉庫など重要代替拠点・設備の確保

 

 【発生直後の措置】

  1. 避難<人命が最優先>
  2. 発災報告・災害対策本部の設置・BCPの発動
  3. 安否確認
  4. 被害把握(建物・車両等)
  5. 社内報告
  6. 従業員招集
  7. 関係先への連絡(顧客・行政・業界団体)
  8. 社内での応援・支援体制の整備
  9. 業務復旧

 

【復旧対策の実行】

  1. 重要業務・物流サービス提供の優先順位の設定
  2. 燃料確保
  3. 施設の復旧
  4. その他物流現

 

【平時からの準備】

  1. 「想定外」を「想定」する(リスクマネジメント)
  2. 定期的な訓練や反復実施を継続する
  3. BCPの継続的な見直し

 

荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン(国土交通省)より

 

 

物流BCPにおける物流事業者と荷主の連携

並ぶトラック

物流BCPに取り組む際は、物流事業者単独の取り組みだけでなく、荷物を依頼する荷主と互いに連携して対策を立てることが欠かせません。

災害時には平時のトラックやルートが使用できず、輸送力や輸送機能の低下や、代替輸送手段や代替輸送ルートを採用する可能性があります。

 

それぞれで策定した企業の基本マニュアルを物流業者・荷主間で共有、把握しておく必要があるでしょう。

 

また、物流BCP対策における提案をしやすい会議の場を設けたり、災害時の目標復旧時間や優先商品情報を共有したりなど、普段から信頼関係を構築していくことも重要です。

 

これらのポイントや必要性を聞いただけでも、「大変そう…」と感じるのではないでしょうか。

 

実際、物流BCPを策定するのは大変な労力がかかるものです。

初めてBCP対策に取り組む場合は、考えうるリスクに対して対応すべき優先順位をつけ、優先順位の高いものからBCP対策を検討していく方法も有効です。

発生頻度や影響の大きさ、関与者の多さなどから優先順位を検討してみましょう。

 

また、物流BCPの手段の一つとして、プロによる物流アウトソーシングサービスを利用する方法もあります。

 

キチナングループでも、物流アウトソーシングサービスを提供しています。

荷物の特性とご要望に合わせて物流業務の最適化を提案します。

 

 

物流BCPで災害リスクに備える! 策定のポイントをチェック

BCP(事業継続計画)とは、災害など不測の事態が起こったときでも業務を継続させるための仕組みづくりのことです。

物流事業におけるBCP対策のことを物流BCPといいます。

 

物流BCPの目的は、トラブルがあった際の物流機能の維持と、早期復旧で、企業の利益や信頼を守るのはもちろん、物流という社会インフラを守る目的もあります。

 

物流BCP策定では、必要な項目を取り入れて必要項目を作ったあと、それを日常的に運用・見直しする体制を確立することが大切です。

物流BCPに取り入れるべき具体的な項目や策定方法については、国土交通省や日本物流団体連合会などがガイドラインを示していますので参考にしてみてください。

 

物流BCPの策定・運用には手間がかかりますし、運用にあたっては荷主との連携も欠かせません。

自社で物流BCPに取り組むのが難しい場合は、物流アウトソーシングサービスを利用して自社の物流業務をプロに委託するという選択肢もあります。

 

キチナングループでも、物流アウトソーシングサービスを提供しています。

荷物の特性とご要望に合わせて物流業務の最適化を提案しますので、お悩みの際はお気軽にご相談くださいね。

この記事を書いた人

岡 拓人

キチナングループ株式会社 倉庫事業部

2021年新卒入社。キチナングループ株式会社 倉庫事業部。幼少期に始めた野球を今でも仲間と楽しくプレー中。終わった後は飲みに行くことが好き。笑顔には自信があります!好きな言葉は「ありがとう」。感謝を忘れず精進します。

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