こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの白石です。

 

近年増えている「製造請負」。

似ている言葉に「業務委託」がありますが、実は意味が異なります。

 

今回は、製造請負と業務委託との違いについて。

 

それぞれの特徴、メリット・デメリットや、製造請負の業者を選ぶポイントについて解説します。

ミーティング

 

 

まずは製造請負について解説!

製造請負とは、製造現場の製造工程の一部または製造現場全体、デザイン部門、検品・検査工程、配送業務など、特定の業務を他の業者に請け負ってもらうことです。

 

製造請負では、業務にかかった時間ではなく、成果物に対して報酬が支払われます。

 

また、仕事の完了にいたるまでの業務内容全てにおいて、請負業者の責任となります。

業務について指示を出すのは請負業者内の人材であり、クライアントは指示を出す立場にありません。

 

製造請負で業務を発注するメリットは以下の3つです。

  • 突発的な売り上げや繁忙期に対応しやすい
  • コア業務に集中できる
  • スタッフ育成の手間がいらない

 

請負を利用しない場合、繁忙期等、突発的に製造ラインが忙しくなったときには人材を増やす必要があります。

場合によってはそのラインの正社員登用も必要でしょう。

 

事業において人件費は固定費の大部分を占めることになります。

契約等の問題もあるため、削減するのが難しい項目です。

 

しかし、請負業務であれば必要な成果物の量に対して業務を依頼するため、無駄がありません。

 

また、業務に必要なスタッフの育成にかかわる必要が無いので、仕事の効率化にもつながります。

 

反対に、製造請負で業務を発注するデメリットは以下の3つです。

  • 自社のノウハウが構築できない
  • 専門性が高いと請負費用が高くなる可能性がある
  • 品質が下がる可能性がある

 

自社は業務内容にノータッチになるため、品質に対して口を出すことができません。

そのため、品質が下がってしまう可能性もあります。

 

一方でその専門性の高さから、品質は良くなるがコストもかかる点がデメリットになるおそれもあります。

 

いずれにせよ、自社ではノウハウの構築ができないため、製造請負を続ければ費用がかかり、停止すればその後の人材育成等を行う必要があるという点はデメリットです。

 

 

業務委託とは?製造請負との違いもチェック!

製造業

製造請負と間違えられやすい言葉に「業務委託」があります。

 

業務委託の契約内容には「請負契約」と「委託契約」があり、請負契約は先述した製造請負を指します。

「委託契約」は一般的には業務委託と表現されることが多いため、ここでは大きな括りとしての業務委託ではなく、「委託契約=業務委託」として説明します。

 

業務委託(委託契約)は、業務に対して報酬が支払われます。

 

製造請負との違いを、例を出して簡単にまとめてみましょう。

 

【製造請負】

製品Aの作成から完成までに3日間かかった。

製品Aに対して報酬が30,000円支払われた。

 

【業務委託】

製品Aの作成に3日間かけたが、完成しなかった。

日当は10,000円で、3日間分の報酬として30,000円が支払われた。

 

製造請負は「完成」が条件です。

かかった日数は関係なく、1日でも1週間でも同じ報酬しか支払われません。

 

対して業務委託は「業務に当たった時間」に対して報酬が支払われるため、製品Aが完成したかどうかは問いません。

 

ここが製造請負と業務委託の大きな違いです。

 

大きなメリットは製造請負と同じで、「突発的な売り上げや繁忙期に対応しやすい」「コア業務に集中できる」「スタッフ育成の手間がいらない」という点はメリットになります。

 

デメリットについては、「自社のノウハウが構築できない」「専門性が高いと請負費用が高くなる可能性がある」「品質が下がる可能性がある」という点では製造請負と同様です。

 

ただし、業務委託は業務に対する報酬となるので、製品が完成しなかったとしても業務が行われたのであれば、報酬の支払いが必要になります。

製造請負と比較した場合は、その点はデメリットとなってしまう場合があります。

 

「成果物」を目的とするのであれば製造請負にするなど、目的に応じた使い分けが必要です。

 

製造請負と業務委託に共通するのは、クライアントは現場で指示を出す立場にないということです。

もし、現場に入ってチェックをしたり、自社独自のマニュアルに沿って製造をしてほしいというような要望があるのであれば、人材派遣を選択するという方法もあります。

 

製造請負の業者選びのポイントも知っておこう

製造請負を発注する際は、業者の選び方に注意しましょう。

ポイントとしては以下のような点に気をつけてください。

  • 費用の安さだけで選ばない
  • 情報を共有できる関係性がつくれること
  • 求めることを適切に理解している
  • 品質、費用、納期を守れる
  • 経営が安定している
  • コンプライアンス順守

 

製造請負では、製造現場の立ち上げに始まり、さまざまな準備が必要になります。

この準備をいかにスムーズに、的確に行えるかについては、製造請負業者が作成する提案書の内容をよく確認しましょう。

 

また、製造過程においてトラブルが発生したり、逆に、さらに良くなるような提案があったりする場合に、クライアントに情報を共有してくれるような、建設的な関係がつくれる業者が理想的です。

 

そのためには、取引実績の数や保有する資格などもポイントとなります。

仕事を任せるパートナーとして信頼できるかどうかという視点でチェックすると良いでしょう。

 

製造請負と業務委託の違いは報酬の対象

製造請負とは、製造現場の製造工程の一部または製造現場全体、デザイン部門、検品・検査工程、配送業務など、特定の業務を他の業者に請け負ってもらうことです。

 

製造請負では、業務にかかった時間ではなく、成果物に対して報酬が支払われます。

似ている言葉に業務委託がありますが、こちらは業務に対して報酬が支払われます。

 

いずれも、業務を外部に任せることでコア業務に注力できるといったメリットがありますが、自社のノウハウが育たないといったデメリットもあります。

 

とはいえ、専門性が高い製造請負を利用することで自社の効率化が図れる可能性も。

製造請負業者を選ぶポイントは「安心して事業を任せられるパートナーであるかどうか」という視点です。

 

「下請け」や「外注」といった関係ではなく、仕事内容について提案や改善もお互いに出し合えるような、建設的な関係を築ける業者が望ましいですね。

この記事を書いた人

白石 重利

キチナングループ株式会社 生産事業部 課長

2021年中途入社。キチナングループ株式会社 生産事業部営業部。前職では大手人材企業で営業や人事にも関わっていました。プライベートでは家族との時間を大切にしています。子供がかわいすぎます。趣味はサッカーと大学時代にも夢中になっていたバンド活動。好きな言葉は「環境は自分で創る」。

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