こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。

 

運送業で車を走らせたときには、運転日報を作成・保管する義務があることをご存じでしょうか。

運転日報は安全な運行業務の実現を目指して実施されているもので、運行管理者や安全運転管理者が責任をもって作成しなくてはいけません。

 

今回のコラムは、運送業で欠かせない運転日報についての解説です。

運転日報の作成方法や記載内容、運行管理者に求められる役割などをお話しします。

 

 

運転日報とは

運転日報とは、運送業務などで自動車を運行した際に、その運転者氏名や走行距離、日時などの業務内容を記録した日誌のことです。

運行業務の内容を把握することで、車両の状態やドライバーの健康状態などを確認し、安全な運行を維持することが目的です。

 

運送業を営む企業はもちろん、それ以外の業種でも業務で一定以上の車両を保有・使用している企業には、運転日報の作成・管理・保管が法律で義務付けられています。

 

運転日報の作成を義務付けている法律は以下の2つです。

  • 貨物自動車運送事業輸送安全規則(第8条)
  • 道路交通法施行規則(第9条10)

2024年4月からはドライバーの時間外労働の上限規制がスタート。

ドライバーの働き方が見直されたことから、ドライバー不足がより深刻になるといわれています。

ドライバーの健康管理と業務効率化を両立するためにも、運行日報の記録・管理の重要性はさらに増していくでしょう。

 

2024年問題についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています!
物流業界における2024年問題とは?働き方への影響や課題も解説

 

 

運行管理者・安全運転管理者の業務や配置義務

運行管理者・安全運転管理者は、自動車の安全な運転に必要な業務を担う役割、つまり安全運転に対する責任者です。

 

運送業では一定数以上の車両を保有する営業所ごとに、車両台数に応じた人数の運行管理者を配置。

運送業以外の業種の企業でも一定以上の車両を保有する場合には安全運転管理者の配置が求められています。

 

【運送業での管理者配置基準】

  • 営業所ごとに運行管理者の配置が必須
  • トラックは営業所ごとに29台まで1名、以降30代ごとに1名追加
  • 貸切バス・タクシーは営業所ごとに29台まで1名、以降30台ごとに1名追加
  • 乗合、乗用バス、タクシーは営業所ごとに39台まで1名、以降40台ごとに1名追加

 

【その他業種での安全運転管理者配置基準】

  • 1つの営業所で5台以上の自動車を保有、または乗車定員11人以上の自動車を保有する場合に安全運転管理者の配置が必要
  • 台数が40台を超える場合は、20台を増すごとに1人の副安全運転管理者を追加

運転日報の管理は、運行管理者、安全運転管理者の業務の一つです。

 

そのほかにもこんな業務を担っていますよ。

  • 運行計画の作成、管理
  • 運転者の健康状態の把握
  • 交代要員の配置
  • 完全確認措置
  • 運転者への指導、監督
  • 酒気帯びの有無の確認、記録 など

 

なお、運行管理者は国土交通省が認定する国家資格で、国家試験に合格するか、一定以上の実務経験と講習の受講を経て資格を取得できます。

運行管理者、安全運転管理者の選任後は、公安委員会へ届け出が必要です。

未配置や未届けなどがあると法律違反として罰則があるので、注意してください。

 

 

運転日報の作成方法と保存期間

スピートメーター

運転日報に記録すべき事項は以下のような内容です。

 

【運送業の場合】

  • 運転者の名前
  • 自動車登録番号
  • 運転日時
  • 発車・到着地点
  • 運転距離、主な経由地、交替地点
  • 休憩・睡眠の地点、休憩時間
  • 貨物の積載、集荷などの状況
  • 事故や著しい遅延などが起きた場合の内容・原因
  • 経路等の運行指示の内容 
  • タコフラグ(運行記録計)の情報の記録 など

【その他の業種の場合】

  • 運転者の名前
  • 運転日時
  • 運転距離
  • その他の事項

 

運転日報は、運転の前後にドライバー自身が記録をしていきます。

指定の様式などは特にないため、必要事項が記載できるフォーマットなどを各企業で用意しましょう。

 

記載後は運行管理者や安全運転管理者へ提出・チェックを受け、保管します。

保管期間は最低1年間、労務管理の要素も含まれていることを考えると3~5年間は保管しておきたいものです。

 

 

運転日報をデジタル化するメリット

運転日報はデータで管理することも認められています。

GPSやシステム、アプリなどを連動して運行データを収集し、運転日報を自動作成する仕組みも増えています。

 

手書きではなくデジタルで運転日報を作成するのは、記入するドライバーや回収・チェックする管理者の負担を減らせるのはもちろん、入力や集計の人為ミスがなくなるので、正確性もアップします。

位置情報の精度が上がる、リアルタイムでの把握も可能など、今後の業務や分析にも活用できるデータが収集できるのもメリットといえるでしょう。

 

 

運転日報の作成・管理は義務

運送業や一定以上の車両を保有する企業では、車両の運行時に運転日報の作成・保管の義務があります。

運転日報は運行状況や車両・ドライバーの状態を把握・管理することで、安全運行を実現することを目的としています。

 

運転日報の管理者は運送業では運行管理者、その他の企業では安全運転管理者が担っています。

記載事項は運転者名、運行日時、走行距離、発着地点、休憩時間、貨物の状況、事故の内容などです。

法律では最低1年間の保管が規定されていますが、3~5年は保管していきたいものです。

 

運転日報はドライバーが手書きで記録し、管理者がチェックし保管するケースが多いですが、最近はデジタル化して自動作成する企業も増えています。

運転日報のデジタル化は、作成やチェックの負担を減らし、記入ミスを減らして情報の正確性が向上するメリットがあります。

 

キチナングループでは、全国ネットワークを駆使した高品質の貨物輸送サービスを提供していります。

お客さまのさまざまなニーズに対応するご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

末次 正人

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長

1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。