こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの三村です。
「燃料サーチャージ」と聞くと航空運賃をイメージするかと思いますが、実はトラック運送業にも2001年からその仕組みが導入されています。
しかし、トラック運送の燃料サーチャージは、なかなか普及が進まないという課題もあります。
今回は、トラック運送での燃料サーチャージについて解説。
燃料サーチャージとはどんな制度で何を目的としているのか。
トラック運送の燃料サーチャージの計算方法や普及が進まない理由などを解説します。
燃料サーチャージ制度とは?
燃料サーチャージ制度とは、燃料価格の上昇・下落によるコストの運送コストの増減を、別建ての運賃として設定する制度です。
正式名称は「燃油特別付加運賃」といいます。
政治情勢不安などを背景に燃料価格が高騰すると、トラック運送業界で運送コストも激増します。
軽油価格が1リットル1円上場すると、トラック産業では約160億円のコストアップが発生するといわれるほど。
しかし、トラック運送業は荷主との価格交渉力が弱く、燃料費高騰分を運賃に転嫁するのが難しい状況でした。
そこで、標準的な運賃とは別建てのコストとして運賃にプラスできるよう、燃料サーチャージの導入が進められました。
適正な運賃収受を支援することで取引の適正化を図り、運送業者のコスト増を抑えるのが目的です。
標準的な運賃として軽油の基準価格を定め、燃料価格が基準価格を上回ると燃料サーチャージが適用されます。
なお、トラック運送における燃料サーチャージでは、燃料価格が基準価格を下回った場合には、燃料サーチャージは適用されません。
トラック運送の燃料サーチャージの計算方法
トラック運送の燃料サーチャージの計算方法には、トラックの移動距離で燃料サーチャージを計算する「距離性運賃」と、トラックを1日または半日をチャーターするなどに適している「時間制運賃」の2つがあります。
【距離制運賃】
走行距離(㎞) ÷ 燃費(㎞/L) × 算出上の燃料価格上昇額(円/L)
【時間制運賃】
平均走行距離(㎞) ÷ 燃費(㎞/L)× 算出上の燃料価格上昇額(円/L)
現在の軽油の基準価格は100円/L、単価100~105円で算出上の上昇額は2.5円、それ以上の価格上昇は単価5円アップごとに算出上の上昇額は5円ずつ上昇します。
※令和5(2023)年3月1日時点
以下の条件で燃料サーチャージ額を、距離制運賃の方法で計算してみましょう。
- 走行距離:1,000km
- 燃費:3km/L
- 燃料価格上昇額:15円(単価115円の場合)
- 算出上の燃料価格上昇額:12.5円
【燃料サーチャージ額】
1,000km(走行距離) ÷ 3㎞/L(燃費)×12.5円/L(算出上の燃料価格上昇額)=約4,167円
標準的な運賃に対して、燃料サーチャージ額4,167円がプラスされます。
トラックの運賃は距離や時間に応じて計算されるほか、あらかじめ料金が設定されている規定料金などがあります。
こちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
トラックの運賃はどう決められる?計算方法や注意点をチェック!
トラックの燃料サーチャージの普及には荷主様の理解が必要
トラック運賃での燃料サーチャージ制度は2001年から導入されていますが、なかなか普及が進んでいないのが現状です。
燃料サーチャージは荷主側の負担となるため、運送会社からは交渉がしにくいからです。
コストアップが顕著であれば、別の運送会社に切り替えられてしまうかもしれないという不安もあります。
しかし、燃料費の上昇分のコストアップ負担を求められているのに拒むことは法令違反となる可能性もあります。
適正運賃の収受による取引の適正化は、トラック運送業界の維持やドライバーの労働環境改善にもつながるため、ぜひ取り組みに賛同してもらいたいものです。
適正運賃での取引を行うためにも、トラックの走行距離、燃費、燃料価格上昇額をもとに燃料サーチャージの額が適正かぜひチェックを。
また、取引先とのコミュニケーションを深め、理解を得ていくことも大切でしょう。
トラック運送の燃料サーチャージ制度とその重要性を知ろう
燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇によるコストアップを別建ての運賃として設定する制度です。
燃料費高騰による運送会社のコストアップを抑えるのが目的です。
標準的な運賃として軽油の基準価格を決め、燃料費がそれを上回ると燃油サーチャージが適用されます。
燃料サーチャージ額の計算式は、「走行距離(または平均走行距離) ÷ 燃費 × 算出上の燃料価格上昇額」です。
現在、軽油の基準価格は1リットルあたり100円で、燃料費が100~105円の場合の算出上の燃料価格上昇額は2.5円、それ以降の上昇は燃料費5円上昇ごとに算出上の燃料価格上昇額も5円アップとなります。
※令和5(2023)年3月1日時点
トラック運送の燃料サーチャージは荷主側の負担になることから、現時点であまり普及が進んでいません。
適正運賃による適正取引を進めるためにも、企業間でコミュニケーションを取りながら理解を深めていく必要があります。
キチナングループでは、物流アウトソーシングサービスを提供しています。
荷物の特性と要望に合わせて物流業務の最適化を提案しますので、お悩みの際はお気軽にご相談くださいね。
この記事を書いた人
三村 和弘
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 課長
2021年中途入社。キチナンロジスティクス株式会社営業部。趣味はゴルフと磯釣りで、休日は妻とゴルフの練習に行ったり、職場仲間と打ちにいくこともしばしば。特技は早起きです。好きな言葉は「誠心誠意」。
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