こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの白石です。
企業が行う業務には、製造や検品、物流等、さまざまな工程があります。
それらをすべて自社で行うには、人員や設備、コストといった多くのリソースが必要です。
しかし、それが企業の負担になることも少なくはありません。
この負担を軽減するのに有効なのが、製造請負です。
一部の業務を外部業者に製造請負として委託することで、企業はノンコア業務へかけるリソースを減らすことができ、業務効率化を図れます。
今回は、業務効率化に効果的な製造請負について、詳しく解説していきましょう。
「製造請負」とは?派遣との違いもチェック
まずは、「製造請負」とはどのようなことを指し、どんなことが可能になるのか、また「製造派遣」との違いについてもご紹介していきます。
製造請負とは
製造請負とは、商品の製造における特定の業務を他社に委託することです。
請負業者は製造工程全体を請け負うこともあれば、一部の業務だけを請け負うこともあり、基本的には発注企業の既存施設・設備を用いて、指定の製造業務を実施します。
ただし、発注企業の施設や設備を用いるものの、請負業者の作業員はその中で発注企業の指揮を受けません。
請負業者の作業員を指揮するのは、請負業者の責任者です。
このように、発注企業の施設の中で、独立して請負工程の作業を行う点が、製造請負の特徴だと言えるでしょう。
製造請負ではどんな業務の委託ができる?
製造請負で委託できる業務の種類は、多岐にわたります。
自動車や電気機器などの精密な部品の製造も、菓子や飲料などの食品関連の製造も、製造請負として委託することは可能です。
また、製造や組み立て、検品、検査、物流、労務管理、雇用調整等、委託できる業務の内容もさまざま。
請負業者によって実施できるサービスは異なるため、業務を委託する前によく調べておくようにしましょう。
製造請負と製造派遣の違い
「他社の作業員に業務をお願いするなら、派遣と同じではないの?」と思った方もいるでしょう。
「製造請負」と「製造派遣」は、他社の作業員の労働力を借りる点では共通していますが、その目的や法律上の取り扱いは異なります。
表で確認してみましょう。
このように、製造請負の工程における仕事の指揮命令は、請負業者に任せることになります。
前述のとおり、製造請負の工程は請負業者が独立して担っていると考えればわかりやすいですね。
一方の製造派遣では、派遣された作業員は派遣先企業の管理者の指揮命令に従い、仕事を行います。
製造請負を利用するメリットを詳しく!
次に、企業が製造請負を利用するメリットについて見ていきましょう。
製造請負の利用による主なメリットは、以下の3つです。
- 自社リソースをコア業務に集中
- 固定費を変動費化してコストカット
- 生産状況の変化へ柔軟に対応
詳しく解説していきます。
自社リソースをコア業務に集中
製造工程全体、もしくは一部を外部の請負業者に委託すれば、発注企業はその業務に人手や時間を割く必要がなくなります。
製造請負であれば、指揮命令を行う必要もありません。
これにより、企業は労働力やコストを、力を入れたいコア業務に集中させることが可能に。
リソースをコア業務に集中的に投入することで、企業はより効率的に成長を目指すことができるでしょう。
固定費を変動費化してコストカット
作業工程のすべてを自社で行なっていると、繁忙期を見据え、企業は事前に多くの人員を雇用しておかなければなりません。
「繁忙期だから」「閑散期だから」と人員を急に調整することは難しく、多額の人件費や採用費は固定費となり、企業経営の負担となる可能性があります。
しかし、製造請負なら、時期によって利用する・利用しないの判断をするだけで、すぐに人員を増減させることができます。
これにより余計な固定費はかからなくなり、繁忙期による人件費の変動費化が可能になります。
必要な時に製造請負を利用し、必要な費用だけを支払うことができれば、トータルでかかるコストのカットが期待できますよ。
生産状況の変化へ柔軟に対応
製造請負を利用すれば、メーカーのニーズや生産状況の変化にも柔軟に対応できるようになります。
生産量が増えた時にだけ製造請負を利用し、状況が落ち着けば製造請負の利用を停止すれば良いからです。
製造請負によって、事業の拡大や増産など急な生産状況の変化に対応できれば、企業は成長のチャンスを逃さず、かつ従業員への負担も軽減することができます。
製造請負を利用する上での注意点も知っておこう
製造請負を利用するにあたっては、いくつか注意点があります。
以下の点については、必ず事前に確認しておくようにしてください。
請負先(委託先)業者の選定は慎重に
委託を行う請負業者の選定は、慎重に行う必要があります。
業者によって、対応しているサービスやその内容、質が大きく異なるためです。
効果的に製造請負を進めるには、請負計画の策定や情報共有、提案など、請負立ち上げ時に積極的な対応を行う業者を選ぶべきでしょう。
また、教育を受けた人材や経験のある人材が揃う請負業者を選べば、委託後の業務はよりスムーズに進みます。
契約時には契約書を交わす
請負契約時には、製造請負契約を締結し、契約書を交わすようにしましょう。
契約書の作成は法的には不要な場合もありますが、後々のトラブルを避けるためには作成しておいた方が安心です。
契約書には、以下のような内容を記載します。
- 報酬額
- 支払期日
- 支払方法
- 責任の所在と対処方法
- 製造対象の製品情報(規格、品質、性能、サイズ等)
- 原料や資材の調達
- 所有権および危険負担の移転時期
- 製造物責任 等
これはの契約内容は、明確に示しておくようにしてください。
また、情報の取り扱いに関する秘密保持のための契約書も交わしておいた方が良いでしょう。
違法にあたる偽装請負にならないよう注意!
製造請負にあたって特に注意しておきたいのが「偽装請負」。
偽装請負とは以下のようなことを指します。
偽装請負とは
「形式上は請負契約としているにもかかわらず、その実態が労働者派遣になっていること。」
事業者が労働者を派遣する場合には、労働者派遣事業の許可が必要です。
そのため、製造請負の実態が派遣の形になっていると、無許可で労働者派遣を行なったとして、その労働形態は違法になります。
先ほどもご紹介したように、「製造請負の作業員に指揮命令できるのは、請負業者の管理者」です。
発注企業の社員が請負業者の作業員に指揮命令を出してしまうと、偽装請負となる可能性があるので、くれぐれも注意するようにしてください。
製造請負を業務効率化の選択肢に!ただし偽装請負には注意
製造請負は、商品の製造における一部もしくは全体の工程を、外部の請負業者に委託することです。
製造請負を利用することで、企業はコア業務に自社リソースを集中させられる他、コストカットや生産状況への柔軟な対応も実現させることができます。
ただし、製造請負は偽装請負にならないよう注意が必要。
労働者派遣との違いを明確に把握し、各従業員に対する対応を間違えないようにしましょう。
また、請負業者選定は慎重に行い、自社のニーズに合った信頼できる業者と契約を交わすようにしてくださいね。
この記事を書いた人
白石 重利
キチナングループ株式会社 生産事業部 課長
2021年中途入社。キチナングループ株式会社 生産事業部営業部。前職では大手人材企業で営業や人事にも関わっていました。プライベートでは家族との時間を大切にしています。子供がかわいすぎます。趣味はサッカーと大学時代にも夢中になっていたバンド活動。好きな言葉は「環境は自分で創る」。
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