こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの三村です。

運送事業者が法律を守り安全に走行しなくてはいけないのは当然ですが、荷主にも運送事業者に法律を守らせる責任があります。

荷主勧告制度は、法律違反の防止や荷主に対して弱い立場になりがちな運送事業者保護のために制定されている制度です。

今回のコラムでは、この荷主勧告制度について解説します。

荷主勧告制度の概要や改正内容、荷主勧告が発動されるとどうなるのかなどをご紹介します。

フォークリフト

荷主勧告制度とは?2014・2019年改正の概要、該当するケースも

荷主勧告制度とは、トラック運送事業者などが業務に関して法律違反をしたときに、その原因に対して荷主が関与していた場合、国土交通省が荷主に対して是正措置などの勧告ができるという制度です。

違反行為の防止や運送事業者保護を目的として、貨物自動車運送事業法第64条に規定されています。

2014年には荷主による安全阻害行為を防止するために荷主勧告制度が改正され、荷主勧告が発動されやすくなりました。

それまで荷主勧告発動には、過去3年以内に荷主へ協力要請書が発出されていることが要件となっていましたが、2014年の改正によりその要件は撤廃。

荷主勧告の要件に該当すると判断されれば、すぐに勧告が発動されます。

違反行為に対して荷主の関与は認められるが勧告には至らないものに関しては、警告書が発出されます。

また、各業界で働き方改革が進められる昨今、貨物自動車運送事業法の一部が2018年に改正され、荷主勧告制度についてもさらに強化がされました。(2019年7月1日施行)

その際には以下のような点が改正されました。

【荷主の配慮義務の新設】

荷主は、事業者が法令を遵守して業務にあたれるよう、必要な配慮をする義務がある。

【荷主勧告制度の強化】

荷主勧告制度の対象に貨物軽自動車運送事業者を追加。

また、荷主への勧告が実施された際はその旨を公表することを法律に明記。

【国土交通大臣による働きかけ等の規定の新設】

法律違反の原因が荷主にあると疑われる場合、国土交通大臣が関係行政機関と協力して荷主の理解を求める働きかけや、荷主への早期の協力要請、勧告・公表などを行う。

荷主勧告制度に該当するケースとは?

荷主勧告制度に該当する可能性があるのは、具体的には以下のようなケースです。

  • 通常間に合わないような非合理な到着時間の指定
  • やむを得ない遅延にペナルティを課す
    最高速度違反や労働時間超過を招く
  • 積み込み直前に貨物量を増やす依頼をする
    過積載運行の原因に
  • 長時間の荷待ち時間が恒常的に発生し、改善の努力をしない
    →労働時間や拘束時間の超過を招き、過労働運転防止義務違反につながる

そのほか荷主が運送業者に対し、違反行為を直接指示、強要した場合なども該当します。

荷主勧告制度が発動したらどうなる?

運転手

運送事業者に法令違反行為があると、違反行為に対する荷主の関与の調査を行います。

違反行為について荷主が原因と認められる場合には、国土交通大臣が荷主に対し再発防止のための措置をとるよう勧告を行い、さらに荷主名が公表されてしまいます。

なお、違反行為への関与が認められるが勧告までには至らない場合は「警告」「協力要請」などを行う場合もあります。

運送事業者の法令違反につながるような指示や発注を出すのは、事故にもつながる危険な行為です。

運送事業者が法律を守って安全にサービスを提供していくためには、荷主の協力と配慮が欠かせません。

トラックドライバーの長時間労働・低賃金問題を解決するために、状況によって「運賃割増」や「待機時間料」を定めている運送事業者もあります。

下記コラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

トラックの運賃はどう決められる?計算方法や注意点をチェック!

荷主勧告制度とは運送事業者の法律違反防止や保護のための制度

荷主勧告制度とは、運送事業者が業務において法律違反をしたとき、その原因が荷主にある場合には、荷主も処分を受けるというもの。

貨物自動車運送事業法第64条に規定され、法律違反を防止するのはもちろん、荷主に比べて立場が弱くなりがちな運送事業者を保護する目的もあります。

貨物自動車運送事業法は運送業の働き方改革の推進にともなって改正がされ、その際に荷主勧告制度も強化されてきました。

発動の要件が簡素化されて荷主勧告が発動しやすくなったり、荷主の配慮義務の新設、対象に貨物軽自動車運送事業の追加などが盛り込まれたりしています。

荷主勧告が発動すると、国土交通大臣より是正措置の勧告がなされ、さらには荷主名が公表されてしまいます。

勧告にまでは至らないと判断された場合は、「協力要請」や「警告」などに留まる場合もあります。

大切な荷物を安全に運ぶためにも、荷主勧告制度を正しく理解し、余裕を持った依頼を心がけられると良いですね。

この記事を書いた人

三村 和弘

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 課長

2021年中途入社。キチナンロジスティクス株式会社営業部。趣味はゴルフと磯釣りで、休日は妻とゴルフの練習に行ったり、職場仲間と打ちにいくこともしばしば。特技は早起きです。好きな言葉は「誠心誠意」。

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