倉庫での保管料は物流コスト全体の約16%程度!
物流業務すべてにおいて発生するコストのことを「物流コスト」といいます。 なかでも、保管料は預ける商品の種類や数、倉庫の契約内容により費用の差が出やすいといわれています。 そのため、できるだけコストを減らすためにも、「保管料」が物流コスト内でどれぐらいを占めるものなのか知っておくことが重要です。 物流コストは、大きく分けると以下の3つで構成されています。- 保管料
- 運送料
- 作業料
倉庫の保管料の料金単位は5つ!

- 個建て
- 坪建て(坪貸し)
- パレット建て
- 重量建て
- 容積建て
個建て
預けたい荷物のサイズがほぼ均一である場合は、「個建て」がよく使われます。 荷物1個あたりの単価が設定されており、実際に倉庫に預けた個数に単価を掛けて保管料金を算出します。坪建て(坪貸し)
使用する坪数がベースとなるのが「坪建て」です。 どのような荷物でもフレキシブルに対応可能で、メジャーな契約形態の1つです。 坪建ての契約には、都度使用した坪数分を請求する「使用坪契約」や、あらかじめ使用する坪数を算出してから坪数を固定する「固定坪契約」などがあります。 1坪当たりの単価が定められており、その単価に使用した坪数を掛けて計算します。 小さな荷物でも大きな家具でも、借りる際の基準は1坪あたりでの算出となります。パレット建て
荷物を載せる板状の荷役台をパレットと呼びます。 一般的には、フォークリフトの差し込み口がついていて、平らな形のものを指します。 パレット建てとは、このパレット1つあたりで保管料を算出する方法です。 預ける荷物をパレット単位で大量に出荷したりする場合は、この「パレット建て」が利用されることもあります。重量建て
「重量建て」は商品サイズに関係なく、総重量で保管料を算出します。 液体や穀物など、容積に比べ重量が大きくなる荷物の場合には、重量建てでの契約になることがあります。 重量建ての場合、保管料を算出する単位は1トン、または1キロあたりで算出するのがメジャーです。容積建て
海外からの輸送等、コンテナなどを使用した荷物の場合は、容積(縦✕横✕高さ)で保管料を算出する「容積建て」での契約がメジャーです。 長さの単位に関しては、「m(メートル)」が最も多く使用されます。 mの3乗(立方体)になることから、貨物の容積を表す際に使われる単位として「㎥=立米(りゅうべい)」と呼ばれることもあります。倉庫の保管料の料金体系ごとに計算方法は異なる!「3期制」とは?

- 1期(1日〜10日)
- 2期(11日〜20日)
- 3期(21日〜末日)
三期制のメリット・デメリット
保管料の計算方式には、三期制以外に1カ月単位で算出する「一期制」や、1日〜15日・16日〜末日になる「二期制」もありますが、多くの物流倉庫では三期制を導入しています。 三期制のメリット・デメリットはどのようなことがあげられるのでしょう。 まず、メリットとしては、在庫の量に応じた支払いが可能なこと。 3つの期間に分けることで、それぞれの時期に実際の動きがあった物量に応じた料金を支払えばよいことになります。 デメリットがあるのは、荷動きが活発なケースです。 預けている荷物の入出庫が盛んに行われるケースで三期制を利用すると、実際の在庫数・在庫量よりも料金が高くなる可能性があります。 次の計算方法も例に、考えてみましょう。個建てにおける三期制の計算方法
個建ての場合での三期制の基本的な保管料の計算式は以下のとおりです。 ■保管積数(前期末の在庫数 + 今期の入庫数) × 保管料単価 = 1期あたりの保管料 三期制には日割り計算などはなく、いつ・どのタイミングで保管を開始しても、1期分の料金が発生します。 たとえば1月9日に保管を開始した場合は、1期分すべての保管料が必要となります。 タイミングを見誤ると不要なコストが発生する可能性もありますので注意しましょう。 わかりやすく、計算例もご紹介します。 <条件>- 1期の繰越在庫数は20、出庫数は5
- 2期の入庫数は15
- 3期の入庫数は25、出庫数は30
- 1期ごとの保管単価は150円
- 1期:20 ✕ 150 =3,000円
- 2期:30 ✕ 150 =4,500円
- 3期:55 ✕ 150 =8,250円
倉庫の料金体系を知り、無駄のない物流コスト管理を!
物流業務で発生する3つの料金、「保管料」「運送料」「作業料」。 3つの中でも保管料の占める割合は約16%。 全体に占める割合が低くても、預ける荷物の量や料金体系によって、大きく差が出る部分です。 預ける荷物の形状や個数に応じた保管料の5つの単位(個建て・坪建て(坪貸し)・パレット建て・重量建て・容積建て)や、保管料の算出方法についてきちんと理解しておくことが大切です。 よく利用される「3期制」は、在庫量に応じた支払いが可能というメリットがありますが、荷動きが多い場合は、費用が割高になる可能性もあります。 自社に合った倉庫の料金体系は何かしっかりと検討し、無駄のないように物流コストの管理を行いましょう!この記事を書いた人

津田 康平
キチナングループ株式会社 倉庫事業部 主任
2018年中途入社。キチナングループ株式会社 倉庫事業部営業部。前職でも営業をしていました。プライベートでは奥様と買い物に行ったり、趣味のゴルフやバス釣りを楽しんでいます。好きな言葉は「この道より 我を活かす道無し この道を歩く」。