こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。

 

実際の在庫数と帳簿上の在庫数に生じるずれを、棚卸差異といいます。

実務の中で棚卸差異が発生すること自体は珍しくありませんが、差異が大きくなると収益や経営などへの影響が大きくなるため注意が必要です。

 

今回のコラムでは、棚卸差異の発生原因や許容範囲、棚卸差異が発生したらどうなるかといった基礎知識を解説。

棚卸差異の対策方法などもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

棚卸差異とは

棚卸差異とは、実際の在庫数量(実在庫)と帳簿上に記録されている在庫数量(帳簿在庫)との間に生じる差のことです。

期末や月末の棚卸作業で実際の商品をカウントした際に、入出庫時に入力している帳簿の数字と異なっているという状況です。

 

どのくらいずれがあるかは、「棚卸差異率」で表します。

棚卸差異率=(実在庫数 – 帳簿上の在庫数)÷帳簿上の在庫数

 

例えば、実在庫が95個で帳簿上の在庫が100個だとすると、(95 – 100)÷100=-0.05で、棚卸差異率は-5%となります。

 

実務上、棚卸差異があること自体は珍しいことではありません。

ただし、業種や企業にもよりますが棚卸差異率±5%程度を許容範囲、±2%程度を目標値としている企業が多いです。

棚卸差異率が±5%を超えている場合は、企業の収益や経営に悪影響をおよぼす可能性があります。

棚卸差異の発生原因を調査し、できるだけ発生しないように改善する必要があるでしょう。

 

棚卸差益と棚卸差損

実在庫数が帳簿在庫数よりも多い状態を「棚卸差益」、実在庫数が帳簿在庫数よりも少ない状態を「棚卸差損」といいます。

棚卸差益は+(プラス)、棚卸差損は-(マイナス)の棚卸差異率で表します。

 

 

棚卸差異が発生する原因

棚卸差異は日々の業務の中で発生する可能性があります。

主な原因を業務の段階別に見ていきましょう。

 

商品入荷時

入荷時に発生する差異の主な原因には以下のようなものがあります。

  • 伝票のチェックミス、処理漏れ
  • 帳簿への記載・入力ミス など

 

商品保管時

商品の保管時には以下のような原因で差異が発生する可能性があります。

  • 商品の破損や紛失
  • 保管場所が不明で探せない、カウントできない など

 

商品出荷時

商品の出荷時には以下のような原因で差異が発生する可能性があります。

  • ピッキングで商品取り違えや数量ミス
  • 作業中の商品破損
  • 伝票や帳簿への記載・入力ミス など

 

棚卸作業時

棚卸時のミスによって差異が発生する可能性もあります。

  • 商品のカウントミス
  • データ反映のタイムラグによる差異 など

 

 

棚卸差異が発生したらどうなる?

棚卸差異が発生したらどうなるか、考えられる影響について解説します。

 

販売機会の損失

棚卸差損がある場合、実在庫が帳簿在庫より少ないため、欠品や受注キャンセルが発生する可能性があり、販売機会を逃してしまう可能性があります。

また、棚卸差益がある場合、帳簿上で把握できていない余剰在庫は、適切な販売機会を逃している状態といえます。

 

この余剰在庫が発見されたときには、すでに商品の需要がなくなっているなど、予定通りに売れなくなってしまう場合も。

 

キャッシュフローの悪化

棚卸差益による余剰在庫は、不動在庫となって保管コストを増大させ、キャッシュフローを悪化させてしまいます。

 

生産性の低下

棚卸差異への対応や原因究明に時間をとられることで、本来業務にかけるはずだった時間はコスト、人材などが圧迫されてしまいます。

そのため、全体的な業務効率が低下し、生産性が下がってしまいます。

 

顧客満足度の低下

棚卸差異による欠品や出荷遅延、キャンセルなどは、取引先や消費者に迷惑をかけ、顧客満足度の低下につながってしまいます。

信頼を損ね、ブランドイメージを下げるのは、企業にとって大きなデメリットです。

 

棚卸差異の対策方法

棚卸

棚卸差異を最小限に抑えるための対策方法をご紹介します。

 

業務プロセスをマニュアル化・標準化する

日々の作業の進め方を統一し、マニュアルを作って標準化しましょう。

例えば、入庫時の確認方法や、ピッキング・出荷手順、ダブルチェックの仕組みなど、マニュアルを作ることで、やるべきことが明確になり、作業の漏れを防げます。

 

棚卸の頻度を増やす

棚卸の頻度を増やすと間の期間が短くなるので、大きな棚卸差異が発生しづらくなり、差異があった場合も原因を調べやすくなります。

また、全ての商品を一度に確認するのではなく、特に重要な商品や入出荷が多い商品だけを対象に、こまめに数を確認するという方法もあります。

 

在庫を実際にカウントする棚卸は、「実地棚卸」とも呼ばれます。

棚卸の具体的な方法はこちらコラムでも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

実地棚卸とは?目的や効果的な実施方法を解説

 

在庫管理システムを導入して在庫管理を強化する

バーコードとハンディターミナルなどによるシステムを導入して在庫管理を行なっている企業も増えています。

システムを活用することで、ヒューマンエラーを防ぎ、タイムラグによる差異も防げます。

 

アウトソーシングサービスを利用する

ノウハウを持つ専門業者に在庫管理を任せるという選択肢もあります。

専門家に任せることで適切な在庫管理を実現すると同時に、自社の社員はいままで管理業務に取られていた時間を本来業務に注力することができるようになります。

 

 

棚卸差異が大きいと事業に悪影響も!在庫管理の徹底などで対策を

棚卸差異とは、実際の在庫数と帳簿上の在庫数に生じるずれです。

棚卸差異の発生原因には、入荷時のミス、保管中の商品破損や紛失、出荷時の取り違え、棚卸作業時のカウントミスなどがあります。

 

実務上、棚卸差異が発生するのはよくあることですが、差異が大きくなると、販売機会の損失やキャッシュフローの悪化、生産性の低下、顧客満足度の低下といった悪影響も考えられます。

棚卸差異の発生を抑えるためには、業務の標準化、棚卸頻度の増加、在庫管理システムの導入、アウトソーシングの活用などが有効です。

 

キチナングループでは倉庫保管サービスを提供しています。

お客様のニーズに合わせてさまざまな幅広い荷物の保管が可能で、倉庫内での保管はもちろん、入庫から配送、輸送まで対応。

効率的な物流設計によるワンストップサービスを提供していますので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

末次 正人

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長

1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。