こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの岡です。
在庫評価額は、在庫評価額は企業の利益や税金などに影響する重要な要素です。
今回のコラムでは、在庫評価額の基本的な概念から、具体的な算出方法、在庫評価損を抑えるためのポイントなどをわかりやすく解説します。
在庫評価額の基礎知識を一緒に学びましょう。
在庫評価額とは
在庫評価額とは、企業が保有している在庫(棚卸資産)を金額で表したものです。
年次の決算や月次の損益計算のために在庫評価額を計算・把握することを、在庫評価といいます。
ここでいう在庫とは、販売用の商品や製品だけでなく、原材料や製造途中の仕掛品なども含まれ、会計用語では棚卸資産ともいいます。
在庫評価額は以下の計算式で計算します。
在庫評価額 = 売上原価(仕入れにかかった費用)× 在庫数
例えば、1個100円で仕入れた商品が在庫として100個残っている場合、在庫評価額は100円 × 100個で10,000円となります。
在庫評価、そして在庫評価額の把握は、企業の財務状態・経営状況を正確に把握するために必要不可欠です。
在庫評価額算出方法の種類
在庫評価額を計算する際、ポイントとなるのは原価の設定です。
会社は複数の製品や原料を日々仕入れ、保管、使用しているので、同じ製品だとしても全ての期間で原価が同じとは限りません。
2種類の在庫評価額の算出方法、6つの取得価格の評価方法についてそれぞれ説明します。
算出方法は、自社の業種や事業内容に合う方法を選ぶことが大切です。
在庫評価額の算出方法
在庫評価額を算出する方法は、「原価法」と「低価法」の2種類があります。
原価法
原価法は、在庫を購入した際の取得価格(原価)を基準に在庫評価を行う方法です。
シンプルでわかりやすい方法のため、多くの企業で採用されています。
低価法
低価法は、取得価格と現時点での原価(時価)を比較し、低いほうの価格で評価する方法です。
ファッションアイテムなど、時間の経過や流行に価値が影響されやすい商品を扱う企業で採用されています。
取得価格(原価)の6つの評価方法
原価法で基準となる取得価格(原価)の評価方法は6種類あります。
①最終仕入原価法
期末から見て最後の仕入れ単価を基準とする方法です。
計算がシンプルで簡単というメリットがあり、多くの企業で一般的に採用されています。
その反面、期末まで評価額が確定できない、原価変動が大きいと実際の財務状況と誤差が広がってしまうのがデメリットです。
②個別法
各商品それぞれの仕入れ価格で評価する方法です。
正確な計算ができますが、取扱商品の数や種類が多いと管理が複雑になってしまいます。
宝石や不動産、土地など、高額で個体差のある商品の評価に用いられています。
③先入先出法
先に仕入れた商品から先に販売されていくという考え方で評価を行う方法です。
実際の商品の流れに近い評価が可能ですが、原価変動の影響を受けやすい特徴があります。
例えば、1回目に単価100円で20個、2回目に単価120円で20個仕入れ、期末に30個残っている場合。
売れたのは1回目に仕入れたうちの10個と考えるため、在庫評価額は10個×100円+20個×120=3,400円 となります。
④総平均法
期首在庫の仕入れ価格と期末までの仕入れ価格の総額を合計し、総在庫数で割って仕入れ単価を算出する方法です。
平均価格を出すので原価変動の影響を受けにくいメリットがあります。
ただし、期末まで評価額が確定しないため、期中の財務状況を把握できないのがデメリットです。
⑤移動平均法
期中仕入の都度、平均原価を計算する方法です。
現状把握がしやすく、原価変動の影響も抑えられるのがメリットですが、在庫数を常に正確に把握し、仕入れのたびに計算する手間がかかります。
⑥売上還元法
売上高に原価率をかけて評価する方法です。
原価率は以下の計算で求めます。
原価率=(期首の棚卸資産の取得価額+期中の仕入棚卸資産の取得価額)÷(期末の棚卸資産の販売額+期中に販売した棚卸資産の販売価額)
スーパーマーケットや百貨店など、取扱商品の種類が多く、それぞれの原価の把握が難しい業種で用いられます。
ただし、販売する商品にのみ適用できる方法のため、製造を行わない卸売業や小売業のみで使われています。
評価方法の選択には届出が必要
6つの取得価格の評価方法のうちどの評価方法を使うか選択する際は、税務署への届出が必要です。
事業を開始して初めての確定申告書提出期限までに、管轄の税務署へ「棚卸資産の評価方法の届出」を提出します。
ただし、最も一般的な「最終仕入原価法」を選択する場合は届出の必要はありません。
また、採用から3年経過後は、正当な理由があれば評価方法の変更が可能です。
在庫評価損の発生を抑えるポイント
在庫評価損とは、在庫の価値(売価)が取得時より低下することで生じる損失のことです。
在庫評価方法に原価法を採用している場合、以下のような理由で在庫の価値が下がったときは、棚卸評価損として計上することができます。
- 災害による商品の損傷
- 商品の品質劣化
- トレンド商品の人気・需要低下
在庫評価損が発生すると、財務・会計上は利益や資産が減少してしまいます。
在庫評価損を発生させないためには、適切な在庫管理で適正在庫を維持することが大切です。
余剰在庫が増えれば製造や販売までに時間がかかり、その間に品質が劣化したり、流行が変わって需要が下がり、売りにくくなったりしてしまいます。
「定期的な棚卸で正確な在庫数量や製品の購入価格を把握する」「システムを導入してヒューマンエラーを減らす」「AIを導入して仕入れや在庫の適正量を分析する」といった取り組みを検討しましょう。
在庫管理における課題と改善策については、こちらのコラムでも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
在庫評価額とは企業が保有する在庫のすべてを計算した金額
在庫評価額とは、企業の在庫(棚卸資産)を金額で表したものです。
在庫評価額の把握は、年次や月次の財務状況を知るために欠かせない会計手続きです。
在庫評価額を算出する際にポイントとなるのは、在庫の取得価格(原価)の設定です。
在庫評価額の算出方法は大きく分けて「原価法」と「低価法」があり、原価の算出方法は、①最終仕入原価法 ②個別法 ③先入先出法 ④総平均法 ⑤移動平均法 ⑥売上還元法 の6種類があります。
自社の業種や事業特性に応じて適切な方法を選びましょう。
また、適切な在庫管理を行い、適正在庫を保つことで、在庫評価損の発生を抑えることができます。
キチナングループでは倉庫保管サービスを提供しています。
お客様のニーズに合わせてさまざまな幅広い荷物の保管が可能で、倉庫内での保管はもちろん、入庫から配送、輸送まで対応。
効率的な物流設計によるワンストップサービスを提供していますので、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
岡 拓人
キチナングループ株式会社 倉庫事業部
2021年新卒入社。キチナングループ株式会社 倉庫事業部。幼少期に始めた野球を今でも仲間と楽しくプレー中。終わった後は飲みに行くことが好き。笑顔には自信があります!好きな言葉は「ありがとう」。感謝を忘れず精進します。