こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。

 

倉庫にもさまざまな種類がありますが、危険物倉庫についてご存知でしょうか。

危険物は消防法にもとづいて定められた性質や性状、特徴別に6種類に区分されています。

引火や火災、爆発や中毒などを起こしやすく、身体や生命に危害を及ぼす有害性の高いものが多いため、危険物倉庫にはさまざまな基準が設けられています。

 

今回は、危険物を取り扱う危険物倉庫について解説。

その定義や危険物倉庫が建つまでの手順、クリアすべき基準や注意点などをご紹介します。

 

危険物倉庫を建てようか、もしくは建てずに保管や管理を依頼しようかと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

 

危険物倉庫とは?どんな倉庫かを解説!

危険物倉庫とは危険品倉庫とも呼ばれ、消防法で定められた「危険物」を大量に保存する倉庫です。

一時的に保存するだけでも、必ず消防法で定められた基準を満たす必要があります。

 

消防法での危険物の扱いについては、消防法第十条により以下のように定められています。

指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない

引用:消防法第十条

 

倉庫を法令で記されている「貯蔵所」として利用している場合、その倉庫を危険物倉庫と称します。

 

危険物倉庫も含めた、そのほかの倉庫の種類に関しては「倉庫の種類を解説!倉庫業での分類を詳しくチェック!」もぜひチェックしてみてください。

 

危険物にはどのようなものが該当するのか

危険物倉庫で取り扱う危険物についても「消防法第二条第七項」で定められたルールがあり、6つのカテゴリーに分類されます。

 

下記のような品目の保管や管理を行いたい場合は、危険物倉庫を検討しましょう。

第一類 酸化性固体 塩素酸塩類・過塩素酸塩類・無機過酸化物・亜塩素酸塩類・臭素酸塩類など
第二類 可燃性固体 硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉・金属粉など
第三類 自然発火性物質および禁水性物質 カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウム・黄りんなど
第四類 引火性液体 特殊引火物・第一石油類・アルコール類・第二石油類・第三石油類など
第五類 自己反応性物質 有機過酸化物・硝酸エステル類・ニトロ化合物・ニトロソ化合物・アゾ化合物など
第六類 酸化性液体 過塩素酸・過酸化水素・硝酸・その他のもので政令で定めるもの

前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの

参考:消防庁資料「消防法令抜粋」

 

危険物倉庫の基準を確認!

立入禁止

危険物倉庫は、消防法で定められた建設基準を遵守している必要があります。

定められた制約に沿った施設の設備を整えることや、適切な人員の整備が求められています。

 

危険物倉庫は以下のような手順を経て、建設されるのが一般的です。

  1. 消防との事前協議を行う
  2. 危険物倉庫を設置する市区町村へ設置許可を申請する
  3. 申請に不備がなければ設置許可証を受領し、工事着手へ
  4. 必要に応じて中間検査を行う
  5. 危険物倉庫が完成したら完成検査の申請をし、検査が行われる
  6. 検査の結果に問題がなければ完成検査証を受領する

 

このような手順を経てようやく新設された危険物倉庫の使用が開始されることになります。

 

また、危険物倉庫は、位置や規模・構造なども定められています。

次で詳しく見ていきましょう。

 

危険物倉庫の「位置」と「規模・構造」の基準

位置の基準

位置の基準については、まず以下の確保が求められています。

  • 近隣に学校や病院などの「保安対象物」があれば、施設に応じた保安距離を確保する
  • 倉庫の構造や、危険物の貯蔵量(指定数量倍数)に応じ、保有空地を確保する

 

さらに、保有空地に対する幅の基準が以下のように定められています。

 

【壁・柱および床が耐火構造の空地の幅】

  • 指定数量の倍数5以下:0m
  • 指定数量の倍数5以上10以下:1m以上
  • 指定数量の倍数10以上20以下:2m以上
  • 指定数量の倍数20以上150以下:3m以上
  • 指定数量の倍数50以上200以下:5m以上
  • 指定数量の倍数200以上:10m以上

 

【壁・柱および床が耐火構造以外の場合の空地の幅】

  • 指定数量の倍数5以下:0.5m以上
  • 指定数量の倍数5以上10以下:1.5m以上
  • 指定数量の倍数10以上20以下:3m以上
  • 指定数量の倍数20以上150以下:5m以上
  • 指定数量の倍数50以上200以下:10m以上
  • 指定数量の倍数200以上:15m以上

 

規模・構造の基準

危険物倉庫には、規模や構造にも以下のような基準が設けられています。

  • 軒高は6メートル未満で、平野であること
  • 床面積は1000平方メートル以下であること
  • 屋根は軽量金属板などの不燃材料を用いること
  • 壁や梁、床などは耐火構造であること
  • 窓や出入り口は防火対策を行い、ガラスは網入りにすること
  • 必要な明るさや採光を確保すること
  • 指定数量が10倍以上になる場合は、避雷設備を設けること
  • 引火点70℃以内の危険物の取り扱いがある場合は、蒸気排出設備を設けること
  • 消火設備を設置すること

 

これらの基準は法律で制約されているもの以外に、各自治体で定める条例ごとに細かく指定されるケースもあります。

 

危険物倉庫に関係する届出・法令

危険物倉庫には、以下のような法令での制約もあります。

  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 消防法
  • 港湾法
  • 危険物の規制に関する政令
  • 火災予防条例

 

取扱危険物にあわせて、届出書類や監督官庁も異なります。

 

普通の倉庫でも危険物保管が可能になるケースがある

たくさんの危険物を取り扱い保管する危険物倉庫は、常に法令にもとづいて申請を行い許可を得ている必要があり、それができなければ倉庫を運用することはできません。

しかし危険物がごくわずかな量であれば、普通の倉庫でも保管できるケースがあります。

 

危険物倉庫以外で危険物の保管を検討している場合は、消防法で定められている「指定数量」を正しく知っておきましょう。

 

指定数量の5分の1未満であれば、危険物倉庫ではない倉庫で危険物を保管することが可能です。
ただし指定数量は、たとえばガソリンは200L、灯油や経由は1,000Lなど品目によって指定数量が異なるため注意が必要です。

 

指定数量が5分の1となると、少量危険物に分類されます。

少量危険物の取り扱いは資格がなくても可能ですが、消防署への届出が必要となることがあります。

 

その他、各市町村によって規制が設けられている場合もありますので、少量の危険物でも保管・管理を行う予定がある場合は、事前に管轄の消防署等に問い合わせておくと安心です。

 

危険物の保管や管理を依頼する際は、数量によっては普通倉庫も選択肢に入ることを覚えておきましょう。

 

 

危険物倉庫を利用するなら基準や法令に対する知識も得ておこう

消防法にもとづき、6つにカテゴライズされた大量の危険物を取り扱い・保管できる危険物倉庫。

その危険性の高さから、建物の位置や規模・構造などの規制が厳しく定められています。

 

法令で定める基準をクリアすることはもちろん、新設する場合は、消防・各自治体との綿密な協議、検査に検査を重ねる慎重な手順を踏む必要があります。

 

危険物倉庫の建設や運営は、幅広く、たくさんの知識を正確に持っていなければ難しいものでもあります。

知らず知らずのうちに法律違反になってしまうケースもありますので、しっかり知識を得ておくことが重要となるでしょう。

 

キチナングループでは、危険物の保管にも対応した倉庫も保有しております。

 

新設には、普通倉庫よりも手間もコストもかかってしまう危険物倉庫。

危険物の保管や管理は、倉庫保管サービスを利用するのもおすすめです。

 

危険物のお取り扱いにお悩みの方は、ぜひキチナングループにお気軽にお問い合わせくださいね!

この記事を書いた人

末次 正人

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長

1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。

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